関西平安文学会と中古文学会関西部会の沿革

関西平安文学会の前身、神戸平安文学会は、藤岡忠美先生の主宰で、16年間59回にわたって神戸大学で開催され、京阪神の研究者にとって得難い発表の場となっていたが、藤岡先生のご退官などの事情で、昭和63年に休会のやむなきに至った。その後、これに代わる、特に若手研究者の発表の場が必要との声が高まり、野中春水先生、片桐洋一先生、清水彰先生などのご尽力で、ひとまわり規模の大きい関西平安文学会が設立された。第1回例会は平成3年9月7日に武庫川女子大学にて開催され、平成13年11月17日の大手前大学での最後の例会まで、32回を数える。基本的に年3回、6月、9月、11月に開催され、発表者は第12回例会までは神戸平安文学会にならって2名ずつであったが、その後は3名となった。

こうして学会の運営が軌道に乗った頃、研究者の業績が細かくカウントされ、それが就職や昇進を大きく左右する風潮が世に広まり、関西平安文学会のままでは、すぐれた発表も正当に業績評価されないという現実に直面することとなった。そこで、この学会を発展的に解消し、中古文学会の関西部会として認めていただこうと、片桐先生や田中登先生が働きかけをされたのである。それが認められる運びとなって、第1回の例会が神戸女学院大学で開催されたのは、平成14年6月1日であった。令和元年11月16日の奈良女子大学での例会まで、数えて54回となり、さらに継続中である。例会は関西の大学で開催し、事務局も関西に置くが、入会を希望する中古文学会の会員すべてに開かれている。なお、関西平安文学会と関西部会の例会記録が中古文学会ホームページに掲載されているので、ご参照いただければ幸いである。(徳原茂実)